みなさんこんにちは。院長の只野です。
先日学生野球のコーチをしている友人から電話がかかってきて『指導してる学生が股関節を痛めたのでみてほしい。股関節からバキッと音がしたらしい』と相談を受けました。
ブチッと音がしたとなれば肉離れを疑いますが、バキッという表現だと疑わないといけないのは骨盤骨折です。
今日は骨盤の裂離骨折(れつりこっせつ)※剥離骨折(はくりこっせつ)とも言われます※について簡単に解説していこうと思います!
Case14:骨盤の裂離骨折の疑い
10代男性、野球の練習中、前へ動こうと力を込めた瞬間にバコッという音を感じ受傷。救急病院へ行きレントゲンを撮り、骨折と断言はできず骨折の疑いありと診断。週末の試合にどうにかして出場できないかコーチに相談し、当院へ来院されました。
・足は引きずる形だが、自力で歩行は可能。
・足をあげるのは難しい
・太ももをあげようとすると恐怖感と脱力感
・動かなければ痛みは感じないが、患部を押すと痛む
・来院2日後に試合がある
来院時に撮らせて頂いた写真がこれです。
立った状態で足をあげるのは困難だったので寝た状態で撮らせてもらいましたが、足はこれ以上あがりませんでした。
肉離れ特有の股関節周辺の内出血も見られないことから、やはり骨盤の裂離骨折(れつりこっせつ)を疑わないといけません。
裂離骨折(れつりこっせつ)とは?
骨盤とは体を支える骨で、仙骨(せんこつ)と尾骨(びこつ)、左右の寛骨(かんこつ)が靭帯や関節によってガッチリ結合された骨の集まりのことを言います。
骨盤に付着している筋肉がスポーツ活動中急激に縮んだ時、そのパワーに耐え切れず骨が引きはがされて発生する骨折を裂離骨折と言います。
裂離骨折は主に中高生のスポーツ学生に起こる骨折で、陸上、野球、サッカーなどのスポーツに多く、ダッシュ・ジャンプ・キック・方向転換といった急な動作時に発症します。
起きやすい場所は踵、膝、骨盤、肘などで、受傷直後はその患部を動かせない事もあります。
激痛で動けないというよりは、動くと痛みが出そうな不安感や、力が入らない・体重がかけられないといった脱力感などが感じられます。
他にも皮下出血、熱感などが出たり、重症の場合は歩行障害やシビレ、麻痺といった感覚障害が出る場合もあります。
同じような意味合いで剥離骨折(はくりこっせつ)という骨折があります。
タンスに指をぶつけたり、金づちで指を叩いたり、といった直接的な衝撃で骨が剥がれた骨折を正式には剥離骨折(はくりこっせつ)と言うのですが、
世間一般には「ボキッと折れた骨折ではなく、骨が剥がれるように折れた骨折は剥離骨折」という認識が浸透しています。
骨盤の裂離骨折の治療法
①保存療法(手術をしない)
接骨院での治療法はこちらです。患部を冷やして安静にし、テーピング・包帯・ギプスを使って圧迫・固定処置をして骨の自然癒合を待ちます。
回復度に合わせて電気療法や運動療法を使ってリハビリを行います。軽いものであれば2~3ヶ月で復帰できるようにサポートしていきます。
②手術(重症の場合)
滅多にありませんが、折れた骨がずれてしまった場合や、折れて剥がれた骨片(こつへん)が大きいサイズの場合、歩行障害や感覚障害を伴っている場合などは手術を行うこともあります。
今回の患者さんの場合
週末の試合出場の可能性をなんとかして残したいというご希望もあったので、無理はしないという前提でテーピングを使った処置をさせてもらいました。筋肉の付着部への圧迫と筋肉の伸縮のサポートを目的としたテーピングです。
その処置がこちら
処置後に股関節を動かしてもらうと、来院時より可動域も痛みも減少していました。
しかしこれはあくまで応急処置であり治ったわけではありません。絶対に無理はしないで痛みが気になるようなら即中止し、週明けに整形外科のドクターの診察を必ず受けるようにしてくださいとお伝えしました。
さいごに
裂離骨折は見逃されてしまったり肉離れと間違えた診断をされることもあります。まずはしっかりと整形外科などで診察して頂くのをお勧めいたします。
当院でも裂離骨折の疑いがある場合はまず整形外科で診断を受けてもらう説明をして、ドクターへ紹介状を書きます。
こんな症状で接骨院に行ってもいいの?と考えている方、診察の入口は当院で構いません!
必要な場合は専門医に引継ぎや紹介状を書かせて頂きますので不安な場合はお気軽にお問い合わせくださいね。