皆さんおはようございます、院長の只野です。
日常生活の痛みはもちろんですが、当院ではスポーツ障害やスポーツのケガにも力を入れて施術をしています。
先日『転倒して捻挫と同時に擦り傷もしてしまった』という患者さんが来院されました。
接骨院では擦り傷に対して窓口代金を頂いて治療をする事はできないので【湿潤療法(しつじゅんりょうほう)】という方法をお伝えしました。
今までの擦り傷治療の常識とは全く違う湿潤療法とはどんなやり方なのか、簡単にお話していこうと思います!
湿潤療法(しつじゅんりょうほう)とは?
【うるおい療法】、【閉鎖(へいさ)療法】、【ラップ療法】、【モイストヒーリング】などとも言われ、人間が持っている自然治癒力を最大限に活かす治療法です。
傷を早くキレイに治すためには傷口が清潔で潤っている状態が必要だという事が最近の研究で明らかになりました。
いままで当たり前のように行われてきた『消毒して、ガーゼ貼って、かさぶたができれば治ってきている証拠だ!』という考えが間違った常識になっているのです。
湿潤療法のポイントは
①消毒しない
②水道水で洗う
③かさぶたを作らない(乾かさない)
という点です。
①消毒しない
マキロンやイソジンなどの消毒液が沁みるのを我慢しながら消毒していましたが、消毒液は雑菌だけでなく早く治そうとする細胞も殺してしまうので、逆に治りが遅くなってしまいます。
②水道水で洗う
傷口に汚れや砂粒などの異物を残すと化膿する原因にもなります。汚れが落ちない場合は石鹸などを泡立てて、指で軽くこすりながら水道水でしっかり洗い流しましょう。
③かさぶたを作らない(乾燥させない)
傷口から出てくるジュクジュクした液は滲出液(しんしゅつえき)と呼ばれていて、傷口を早く治す成分がたくさん入っています。これを乾燥させないことが早くキレイに治す為に重要なのです。
湿潤方法のやり方
♦用意するもの♦
- ラップ
- 医療用テープ(カミバンのようなもの)
- 白色ワセリン(ドラッグストアで手に入ります)
- 包帯
- はさみ
①傷を水道水できれいに洗います。汚れや砂が残っていれば石鹸を泡立てて指で軽くこすりながらきれいに流します。
②傷より少し大きめに切ったラップに白色ワセリンを塗ります
③傷にワセリン付きのラップを当てて医療用テープで両サイドを止めます
④ずれたり、ジュクジュクした滲出液が多いときはラップの上からガーゼを当てて包帯で巻きます
⑤ラップは毎日交換します。汗をかく夏場は日に2,3回、冬場は1,2回を目安に交換しましょう。
擦り傷や軽いやけどであれば数日でかなり皮膚が治ってくるのがわかります。
ここまでするのは面倒くさいと思った人は、ドラッグストアで売っている【キズパワーパッド】などのハイドロコロイド被覆材でできた絆創膏を使うのも良いです。
ただ、値段はちょっと高めです。浸出液がどんどん出てくる時期は頻繁に交換しないといけないのでもったいない気もしますが、一家に一箱用意しておくのをオススメします。
湿潤療法で気を付けるポイント
こんな時は要注意!
- 傷口が深い(はさみや包丁)
- 傷口の汚れが落ちていない
- 釘や画びょうの刺し傷
- 動物に噛まれた傷
- 傷口から変なにおいがする
- 出血が止まらない
- 水泡ができているやけど
- カイロなどでできた低温やけど
- 患部が熱を持っている感じがする
- 高熱が出てきた
擦り傷だけでなく、切り傷、やけどにも効く湿潤療法ですが、ラップで覆う方法を間違えて皮膚トラブルを起こす事例が報告されているそうです。
さらに悪化すると傷口が化膿したり、感染症になったりといった深刻なケースになることもあります。
素人判断では危険な部分があるので、少しでもおかしな症状が出てきたら必ず病院を受診するようにしましょう。
さいごに
私も草野球のスライディングやスノーボードの転倒ですり傷を負ったときに実践しましたが、早くきれいに治りました。
より詳しく知りたい人は下記のサイトを参考にしてみてくださいね!
参照:新しい創傷治療HPhttp://www.wound-treatment.jp/